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大きい物と看板コワイ。メガロフォビアの話

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札幌在住のため周回遅れでしか見られない
ナイトスクープに魚類恐怖症の人たちが出ていた。
なかなか大変そうだ。
そこでふと、自分の恐怖症にはどれくらいの仲間がいるものかと検索してみると
「メガロフォビア」なんて、いかにもな名前で呼ばれているじゃないか。
日本語では巨大物恐怖症とでもいうのか。
ぜんぜん共感を得られないけど数十年に一度くらい同士に出会う
(さすがのインターネット界にはけっこう同士がいるように見えた)。
ソレを初認識したのはおそらく中学校の宿泊研修か何かだったと思う。

白老のアイヌ民族博物館の村長(むらおさ)の像を見て足がすくみ、
長の足下をちょろちょろしている同級生のマネはとてもできなかった
(何度も見たので今は平気)。

次に気付いたのは高校の頃。
今はなき、すすきの駅の「ヨークの上」の
イタリアントマトにて。ふと窓の外を見ると
でっかいキリンビールの看板がピカピカ。
向かいのビルの屋上あたりにある
麒麟のマークとロゴを同じ高さで見て、
言い表せない恐怖感がわきあがり、窓の外はいっさい見ずに
ドリアだかパスタだか大きいケーキに集中した覚えがある。
ヨークの上で体験したことを友人に言っても
まったく理解されなかった。

日常で困ることはないが、なんとなく通学途中に
大きなトラックやらグレーダーやらの大型特殊車両があると
少しさけてあまり見ないようにしていた時期もあったっけ。

ほかにも書き連ねると…

高校時代に友人母の車で温泉に行き、霧の夜にふんわりと
ライトアップされた巨大鳥居(恵庭のアレ)の横を通過して見上げた際に
ヘンな声をあげてしまった。

友人との東京旅行で知らずに通ったパンダ口にあった
巨大パンダ(数年後に遠くから見たがそれほど大きくなかったのだけど)の
人形が横にあることに気付いた瞬間「ひいいい」と
楳図作品の美少女の叫びが出てしまった。

短大だか働き出した頃に日高方面にドライブに行き、
夜、新冠町がウエルカムのつもりで壁面に描いたであろう
駆けるサラブレッドの巨大絵(しかもライトアップ)を
初めて見て震えるほど怖かった。

他にもダムやら坂の上から見下ろしたお寺の大屋根、
実際に見たことのないマーライオンやブラジルのあの像、
なにもそこまで大きくしなくても…な涅槃像など
実物から写真まで理由のわからぬ恐怖物はいろいろ。

大きな建造物や巨大看板だけでなくホッキョクグマのはく製も苦手だ。
昔の北大植物園の博物館にはく製だらけの展示施設があり(記憶です)
狭い中にシャチだかクジラの骨格標本やらクマのはく製やらが
あって倒れそうに。以来、大きいはく製が苦手になったと思われる。

そんな私だけれど、寺社仏閣や博物館を観るのが大好きなのだ。
怖い怖い言ってては楽しめないので折り合いをつける方法を常に考えている。

そこで思い出したのが奈良の大仏。
幼い頃から何度も見ているせいか不思議と恐怖を感じない。
いやたぶん、夜にライトアップされた大仏の
てのひらに乗ってお顔を間近に見る機会があれば
貧血を起こすかもしれないが、日中ふつうに観光するのは
問題ない。
これはおそらく、「大仏を見るぞ!」と覚悟して、徐々にならして
見に行くので平気なんだろう。
だから他の仁王像やら菩薩様阿弥陀様、骨格標本たちも
気合いを入れて行くので恐怖症は中和されている気がする。

克服するには気合いを入れて慣れること。これなんだと思う。
それで大人になってからはだいたいクリアしてきていた。

それでも突然の出合いがあると恐怖症回路がつながってしまう。

こないだも夜に空港から友人宅へ車で送ってもらっていたところ
「ほら」と指さした方向に牛久大仏が。
黒いシルエットがものすごく怖かった。

京都の建仁寺を参ったとき、入ったお堂の天井に
ものすごい迫力の竜神様の天井画が描かれていてへたり込んでしまった。

だから初めて行く博物館やお寺に一人で行く際は
たいていドキドキしている。角を曲がったところに
大きな何かがいるかもしれん。

こんなやっかいな恐怖症はなんとかしたい。
本能がそうなる理由も知りたい。
自分なりに探るために、
どんな場面で恐怖を感じるのかをリストにしてみる。

◎狭い空間で、自分より大きい人工物(はく製含む)と出合う
◎大きな物を近くから見上げる
◎夜間にライトアップ(前に恐怖を感じたものでも
 何度か見て、昼間なら平気になった)
◎高所にある看板を同じ高さ(近さ)で見てしまう
◎子どもの頃には恐怖の記憶がないので
 大人が一緒で意識しなかったのかもしれない

ネットではネズミ的哺乳類だった時代に恐竜を見上げて
恐怖を感じた遺伝子のなごり、なんて理由もあった。
前世占いでは神殿のような場所で噴火が起こり、巨大な柱が倒れてきた
(ポンペイか)と言われたけど、いやはやなんとも。

原因のひとつになりそうなのが、高所恐怖症。
巨大看板については自分が高所の看板のある
場所に立つことを想像してしまって怖いのかも?とも
考えられる。とはいえそれだけじゃあ納得できないこともいろいろ。
でも想像力が原因ってのは鍵なのかもしれない。

自分の性格を書くときには「知りたがり屋の臆病者」と
表現するのだけれど、
今後も覚悟して徐々に慣れて、時にビクッとなって脂汗かきつつ
好奇心を満たすしかないのだな。
いつか理由がわかると怖がりつつも納得できるのかなあ。

もし私の視線がうろうろして嫌な汗をかいているようなら
そこに苦手な何かがあるのかもしれません。
温かい目で見てもらえたらさいわいです。

by etobunsha | 2017-11-03 10:04 | ふつうの日々のこと

エトブン社です。絵と文を描いています。


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